小規模個人再生についての豆知識

取扱業務 自己破産・民事再生・債務整理・借金問題 小規模個人再生についての豆知識

一般の消費者の方が、お金を借り入れすぎて、返せなくなった、でも、いくらかを返済して、破産は回避したいという場面を想定して、債務整理がどうなるかを見ていきましょう。債務整理の方法にはいろいろあり、場合によって様々な手段をとることになるのですが、このストーリーではいろいろな事情はさておいて、小規模個人再生になじむ一般的なものとして進めていきます。


破産を検討すると、破産でかかる制限がいやだ、あるいは一部であれば弁済できるから、なるべく弁済して、残りは免除してほしいという場合も出てきます。

特に、資格職業に就いていて破産手続期間中だけとはいえ、一部期間でも資格制限が困るという場合や売却が困難な不動産(たとえば、耕作放棄地。)をたくさん持っている場合には、破産を回避できることに大きなメリットがあります。

このような場合、将来にわたって安定的な収入が見込めるということですと、民事再生の中でも小規模個人再生を検討する場合があります。


point! 借金が多くても破産を回避できる場合がある!


小規模個人再生では、債権額要件などいろいろな要件があるのですが、それらを全部満たしていたとして、手続はどうなるでしょうか。

破産は、「清算型」といわれ、手続が終了したらおおむね全ての財産関係は消滅するという建前の手続です。ですから、将来の収支の見通しについては、どちらかというと曖昧なままでも手続を進行できます。

しかし、民事再生手続は、(原則)3年かけて債務の弁済を将来にわたって続けるという手続(そのまま、「再生型」手続といわれます。)ですので、将来の収支についてかなりシビアに検討することになります。


point! 小規模個人再生では、将来の収支の見通しが重要!


もう一つ、「再生型」手続として「清算型」手続との違いを意識しておかなければならない部分があります。

それは、「再生型」手続では、「清算型」手続のように、裁判所が公権力をもって債権債務を一方的に消滅させるのではなく、(裁判所の関与があるとはいえ、また、例外はあるものの)債権者の同意を得てはじめて手続を進められるということです。

ですから、債権者の方には、破産手続よりもより詳細な報告をしなければなりません。


point! 小規模個人再生では債権者の同意が必要!


そうすると、手続も破産よりもより丁寧で、時間と労力がかかるものとなります。

具体的な運用の一部でいいますと、過去の収入に関する資料が、破産手続の時よりも、小規模個人再生手続の時の方がよりたくさん必要とされます。

また、債権者の「同意」が必要になりますので、債権者との裁判所を介したやりとりも増えます。


point! 小規模個人再生は、破産手続よりも時間と労力がかかる!


時間と労力をかけて、「再生計画案」というものを裁判所に提出して、認可決定がなされると、債権債務はその「再生計画案」のとおりのものに「変更」されます。たとえば、1000万円の一括払いであったものが、10万円の36か月払いになり、残りの640万円については消滅するというようなイメージがよいでしょう。

なお、「再生計画案」では全ての債権者に対して、同じ割合で減額する必要があります。20%に減額するのであれば、1000万円の大口借り入れも200万円に圧縮し、100万円の借り入れも20万円に圧縮することになります。

しかし、中には1万円の債務などというものがあります。これを20%に圧縮した2000円を36回払いするとなると、振込手数料の方が高額という不合理な事態が生じます。このような場合、裁判所から特別の許可を得て、1万円の債務については、すぐに全額払うから、再生計画案には記載しないという取扱いが認められることがあります。


point! 「再生計画案」の作成は難しい!


「再生計画案」の認可決定により、「変更」された後は、再生計画案のとおりに支払う必要があります。再生計画案は、債権者が、「本来は全額をきっちりと払ってほしいけれど、あなたがまけてくださいと頼んだし、裁判所も認可するものだから、特別に減額してあげます。」というものですから、債権者には、誠実に再生計画案どおりの弁済をする必要があります。


point! 再生計画案が認可されたら、再生計画案の定めどおりにきちんと支払う!


今まで駆け足で小規模個人再生手続について説明しましたが、破産に比べて、弁護士に求められる時間と労力は必然的に多くなります。ですので、破産よりも、小規模個人再生の方が弁護士費用は高くなりがちです。

破産よりも高額な弁護士費用を払ってでも小規模個人再生を依頼される方はたくさんいらっしゃいますので、破産はいやだけれども、債務を減らしたいという場合は、弁護士に一度相談してみるとよいでしょう。


point! 弁護士費用の破産との差が、自分にとってそれだけの意味があるものかどうかを考える!


これは、小規模個人再生手続をとても抽象化して説明した記事ですが、借金=破産のような考え方に縛られることなく、弁護士費用が高くなりがちではあるけれども、破産以外の方法で借金を減額できる方法を採れる場合もあります。